新型コロナウイルスの感染拡大が広がり、第4波と言われている。医療従事者、福祉従事者へのワクチン接種も進まず、我慢の日々が続いている。施設では、またいつ感染が発生するか分からない中、緊張の毎日。今回は、感染対応について、発生時の動きをまとめたものを紹介していく。クラスター発生施設だからこそ、伝えていく必要がある。
新型コロナウイルス発生時の対応
ここでの発生時とは、職員もしくは入所者が〈感染者、濃厚接触者、発熱者、感染疑い〉の場合とする。
環境準備
○個室の入所者:個人の個室で隔離対応開始 ※個室をレッドゾーンとする
○多床室の入所者:同居室を隔離対応として対応開始
※個室が空いている場合、発熱者を個室へ移動
⇒同室者は14日間居室にて隔離(部屋から出ない)
・各ベッドごとにカーテンで隔離
・離床せず居室での対応
・マスク装着、ベッド同士の間隔を2m以上あける
・該当の居室をレッドゾーンとする
※最終的なゾーニング等の決定は、保健所、感染管理認定看護師の指示に従う
ゾーニング後の対応
○汚染区域、清潔区域の出入り方法
・汚染区域(レッドゾーン)へ入る際は、必ず防護具を着用
※防護具を着用しない状態での出入りは絶対にしない
※区分エリアは、分かりやすいようにテーブルや衝立などを使用して区別する
○防護具の着脱場所の設定
・区分エリアに感染防護具セットを設置
・レッドゾーン居室前に、感染防護具セットを設置
※防護具を脱ぐ場所は、汚染区域となるため、赤色のテープなどで指定
※防護具着用場所は、黄色のテープで指定
○レッドゾーン居室扉には、立ち入り禁止等が分かるように赤色テープなどを貼る
○居室入口の暖簾やカーテン等は、手が触れる場所が増え、感染リスクを増大させるため使用しない
※職員間で共有できるように感染区分の見取り図を配布
感染防護具
1、 ガウン(袖付き)
2、 プラスチックグローブ
3、 マスク
4、 シューズカバー (※1)
5、 アルコール消毒 全身等へ噴霧用
6、 アルコール消毒 手指消毒用
7、 アルコール消毒綿
8、 ヘアキャップ
9, フェースシールド (※2)
10、ビニール袋
※1 シューズカバーは使用しなくても可 シューズを都度消毒で対応
※2 フェースシールドは、アルコール消毒綿で拭き、再利用
感染者、濃厚接触者への対応
○多床室で陽性者が発生した場合、可能な限り原則として陽性者を個室へ移動し、同居室者はそのまま居室での隔離とする
○レッドゾーンの多床室は、なるべく同一職員が対応するように勤務者の調整をする
○職員は「1ケア1手洗い(手指消毒)」「ケア前後の手洗い(手指消毒)」を徹底
○換気の実施
○体温計やパルスオキシメーターなどは可能な限り各個人専用とする
○防護具を脱ぐときは「1動作1手指消毒」をする
濃厚接触者、感染者居室の解除と退院後の対応
濃厚接触者の解除
○PCR検査陰性の濃厚接触者は、感染者との最終接触から14日間は健康状態の観察を行い、問題なければレッドゾーンを解除
感染者居室の解除
○陽性者が使用した居室は、使用後3日間(72時間)封鎖
⇒その後、アルコール消毒または、次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行い、十分な換気を実施してから使用する
陽性者の退院後の対応
○隔離が退院後も継続する必要があるかは、病院に確認し判断する
※感染リスクがなくなったと判断されてからも、陽性者はPCR検査で陽性となる場合があり、病院の逼迫状況によっては、その状態での退院もありえる
○退院後は1週間健康状態の確認
○退院後は多床室の場合、カーテンで隔離、マスク装着