生活相談員の勉強部屋

【現役相談員が教える】特別養護老人ホーム(特養)に早く入所する方法 裏ワザやコツはあるの?

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 こんにちは、ほしくずのクズきちです。

 今回は、特養入所についてよく質問される「入所の決め方」について解説していきたいと思います。私は、現役の生活相談員で、特別養護老人ホームで勤務しています。入所のお申し込みも月に10件程度頂いています。

 申し込まれる方は、ご家族の状態やご家庭に事情を抱えられている方も多いのが実態です。

 「なるべく早く入所をお願いします。」

 「いつ頃に入所できますか?」

 という質問をよく頂戴します。

 また、待機されている方の中には、

 「なんでウチの方が早く申し込みしたのに、あの人の方が早く入所になるんだろう。」

 「そもそも入所の順番ってどうやって決めてるの?」

といった疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

 今回の記事では、そういった質問・疑問にお答えしていこうと思います。

 まず、率直にお伝えさせて頂きます。

入所が決まるポイント

○入所される方が、長期に渡り安定して生活していけること

○ご家族や身元引受人の方が、介護や施設に協力的であること

○在宅での生活が困難である理由が具体的で、必要性が感じられること

○入所の申し込み書の内容が丁寧であること

 入所申し込みをご検討している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

 その他、わりと多くの人が気になることだと思いますが、コネがあるかどうかは相当の人脈がない限り関係ないということをお伝えさせて頂きます。

 それでは、ひとつひとつのポイントについて、もう少し詳しく解説していきますね。

特別養護老人ホーム(特養)とは

 原則として年齢65歳以上の方で、介護保険の要介護認定で「要介護3」以上の認定を受けた方が対象となります。。ただし、特定疾病のある要介護3以上の方であれば年齢40~64歳でも入居可能となります。

 また、要介護1・2の方でも以下の条件を満たせば、入所することが可能です。

要介護1・2の特例入所要件

○認知症により日常生活に支障が出るような症状や行動、意思疎通の難しさなどが頻繁に見られる

○知的障害や精神障害などを伴い、日常生活に支障が出るような症状や行動、意思疎通の難しさ等が頻繁に見られる。

○家族などによる深刻な虐待が疑われるなど、心身の安全と安心の確保が難しい生活環境下にある

○単身世帯、もしくは同居の家族が高齢または病弱であるなど、家族などの支援を期待できず、地域内の介護サービスや生活支援の供給体制が不十分

 特養の特徴は、何と言ってもその費用の安さです。民間が運営する有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などと比べても、比較的費用を抑えて入所することができます。そして、余程のことがない限り、施設で看取りを行うことも可能です。

 そのためか、施設の入所希望者も多く、待機者100人を超える施設もざらにあります。

 全国的に見れば、待機者が30万人近くいると言われています。

特別養護老人ホーム(特養)の入所の流れ

 特養への入所の流れをざっくりと説明します。まず、入所を希望する場合は、入所申込書を施設に提出しておく必要があります。申し込みをしていなければ、そもそも入所の対象とはなりません。

 入所者の中で、お亡くなりになられたり、何らかの事情で退所が出た場合、次に入所する方を入所検討会議にて決定します。その入所検討会議で候補に上げられた方の中から、最終的に入所して頂く方を決めることになります。

 この入所検討会議の対象になるためのポイントが、冒頭で紹介した内容になります。ここに辿り着かなければ、何年待っても入所になることはほぼありません。

 入所申し込みの書き方については、こちら↓の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

早く入所が決まるポイント

 入所が早く決まるには、いろいろな要素やタイミングが関わってきます。入所は申込順ではなく、緊急性や必要性で決まることが基本ですが、入所申し込みの段階で、緊急性が高かったとしても、早く入所が決まるわけではありません。

 施設側も、職員体制や嘱託医・協力病院との関係性などもあり、受け入れたくても受け入れられないケースがどうしても出てきてしまいます。

 そのことを踏まえた上で、解説していきたいと思います。

ポイント① 長期に安定して入して頂けるかどうか

 施設としては、入所された後になるべく長く体調が安定して過ごして頂けることが重要視されます。入所後、すぐに入院する可能性があったり、お亡くなりになる可能性は、できるだけ排除したい心理が働きます。

 施設経営的には、なるべく施設が空く期間をなくしたいわけですから、そういうリスクがある方はなるべく避けようとする傾向にあるようです。

 合わせて嘱託医や協力病院などの意向もある程度反映されます。それは、その医師の考え方次第ですが、自分の専門外の医療については受け入れない場合や薬の調整が難しいご利用者などの入所は敬遠されます。

 末期がんや難病などをお持ちの方や糖尿病によるインスリン注射、認知症の症状が顕著に見られる場合などは、なかなか入所につながらないケースになる可能性が高いです。もちろん全ての事業所がそうではありませんが、生活相談員だけの力だけではどうにもならないもどかしさがあるのが現実です。

ポイント② ご家族や身元引受人が協力的であること

 施設に入所したら全てお任せというわけにはいきません。施設側としては、ご家族や身元引受人の方もご本人の生活を支える協力者であるという捉え方をします。

 「全て施設にお任せします。」

 このようにお話される方もおられますが、施設側としてはあまり良い印象を持つことはできません。ご家族や身元引受人の方が協力的であるかどうかは、申込時や生活相談員との面談時に注意深く観察されます。

 施設は、ご本人が最期まで安心して生活できる場を提供する役割があり、そのためにはご家族や身元引受人等の協力が必要になります。入所した途端に連絡が取りづらくなったり、必要な物品をお持ち頂けなかったりする可能性がある場合、入所が難しくなることもあるので注意が必要です。

ポイント③ 介護の必要性を具体的に伝える

 入所申し込みをされる方のほとんどが、早く入所したい(させたい)という気持ちをもっておられます。その中から、緊急性・必要性がある方を優先して入所決定していきます。

 その緊急性や必要性について、できるだけ具体的に伝えて頂けると、施設としては入所を検討する幅が大きくなります。その内容が相談員の心に響くことがポイントです。

 「認知症がひどくて家ではもう無理です。」

 「有料老人ホームの料金が高くて大変なので、なるべく早くお願いします。」

 これくらいの内容は、どの方も同じですので、全く差別化できません。在宅ではどのように難しいのか必要な在宅サービスをフル活用しても難しいのかご家族は介護に少しでも関わっているのか、そういった部分を具体的にお伝えいただき、判断させていいただくことになりますので、「大変=入所の対象」というわけにはいきません。

ポイント④ 入所申込書の内容が丁寧に書かれている

 入所申し込み書は、施設側が初めてその方を知るための最初のきっかけです。その入所申込書の内容により、入所の対象になる可能性があるかどうかが検討されます。ご本人の状態についてはもちろんですが、ご家族構成や別居の協力者の有無、年金の金額など、いろいろな項目があります。

 雑に書かれていたり、内容が不足しているとなかなか入所対象として見られない可能性があります。

 丁寧に書くことをおすすめします。

施設に対してやってはいけない対応

 ここまで、少しでも特養への入所が早くなるためのポイントについて解説してきましたが、ここからは逆に施設側に悪い印象を与えてしまう対応について解説していきます。

 特養入所を焦るあまり、施設の相談員に対しての関わり方が雑になってしまうと逆効果です。良くも悪くも施設の生活相談員が、入所を希望される方とそのご家族・身元引受人の印象から、入所の検討を行うことは事実です。

 間違った関わり方をして、入所が遅くなることがないように確認しておきましょう。

「入所はまだですか?」という問い合わせのくり返し

 施設に申し込みをしても、すぐに入所にならないことは皆さん承知されていると思います。しかし、入所を焦るあまり何度も連絡してくる方が、たまに見受けられます。これは、施設にあまり良い印象を与えられません

 「また〇〇さんから連絡あったよ。」

 「連絡もらっても早く入所できるわけじゃないのにね。」

 これが相談員の本音です。在宅での介護が大変であることは、申し込みをされているわけですからこちらも理解しているつもりです。しかし、あまりにもくり返し問い合わせをされると、施設側も良い気持ちではありません。

 もし連絡をするなら...

連絡のポイント

〇状態が変わり、その様子を具体的に伝えるため

〇要介護認定が変わった

〇家族状況に変化があった

 こういった内容を伝えて下さると、再度検討するきっかけになりますので、連絡をするときの参考にしてみてください。

「この施設しか申し込んでいないんです。」というアピール

 たまに「ここだけしか申し込んでいないんです。」とお話しされる方がいますが、特に意味はありません。相談員の立場から言わせていただくと「急いでいるなら、他の施設に申し込めばいいのに。」というのが本音です。

 特別な事情があってひとつの施設しか申し込まないというのなら分かりますが、急いでいるにも関わらずひとつの施設にその期待を押し付けられても、何の効果もありませんのでご注意ください。

 もし、ひとつの施設しか申し込まないのなら...

伝えるポイント

〇この施設が良いと思ったポイントを具体的に伝える ※経営方針、介護職員対応など気に入った理由

〇入所される方が、その施設にマッチしていると思う理由を伝える ※環境が自宅に似ていて安心できそうなど

 ただ理由もなくアピールされても、あまり意味はありません。

早く特養へ入所するためのポイントまとめ

 いかがだったでしょうか?ポイント再度整理すると。。。

入所が決まるポイント

○入所される方が、長期に渡り安定して生活していけること

○ご家族や身元引受人の方が、介護や施設に協力的であること

○在宅での生活が困難である理由が具体的で、必要性が感じられること

○入所の申し込み書の内容が丁寧であること

 となります。困っている人を助けたい気持ちは、もちろん施設側にあります。しかし、施設の相談員も人間ですので、あまりにしつこかったり、高圧的態度で来られると逆効果になります。

 逆にひとつひとつ丁寧に説明したり、必要時に状況報告の連絡をとってみるなど、施設が判断するため要素をお伝えいただくことは大歓迎です。

 これから高齢者は増加し続けますので、入所がますます厳しくなる可能性があります。今回のポイントを参考にしていただき、少しでも早く入所ができることを応援しています。

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