こんにちは、ほしくずです。
介護職員の方なら、誰もが知っている言葉に「傾聴」があります。「傾聴」とは、文字通り相手の話に耳を傾けて聴くことです。
認知症のご利用者のお話を聴いたときなど、「傾聴する」なんていう記録を残すこともあるでしょう。
この「傾聴」は、介護職員の最強スキルだと私は思います。岸田内閣総理大臣が「聞く力」ということを強調されていましたが、正直介護職員のほうが圧倒的に「聴く力」があります。
さらにこの「傾聴」を常に意識して、習慣化することで、介護現場に多くのメリットをもたらすことができます。
この記事で紹介する内容を理解し、実践することで、職場のコミュニケーションが活発になり、人間関係が良くなり、サービスの質の向上につなげることができます。個人としては、コミュニケーションが抜群にうまくなります!
「傾聴」が重要な理由と「傾聴」の基本スキルについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
「話す」より「聴く」ほうが重要で難しい
コミュニケーションに苦手意識を持っていたり、コミュニケーションがうまくなる条件として「話し上手」であることが必要と考える傾向にあります。
確かに話をが上手に越したことはありませんが、それよりも重要なのは「聴き上手」であることです。
話し下手でも良いコミュニケーションを作り出すことはできますが、聴き下手の場合、良いコミュニケーションを生み出すことは難しくなってしまいます。
その理由は2つあります。
ひとつは、「相手を知らずにコミュニケーションは成り立たない」ということ。
もうひとつは、「自分を理解してくれる人と関わりたい想うこと」です。
自分と相手は違うということ
「相手を知らずにコミュニケーションは成り立たない」というのは、自分と相手が違うということを理解していないということです。
根本的に、人間はそれぞれ価値観や信念が違っています。自分の考え方が当たり前、同じであるという思い込みから解放されなければ、コミュニケーションはうまくいきません。
相手の思い描く世界、考え、価値観にどれだけ寄り添えるかが、コミュニケーションの質に直結します。
上手に話すだけでは、相手を知ることはできません。そこに「傾聴」が必要になってくるのです。
人は、自分に意識が向いている
「自分を理解してくれる人と関わりたい想うこと」というのは、人は根本的に自分のことが一番好きであり、自分を理解してくれる人を好きになるということです。
基本的に、人は自分のことが一番気になりますし、自分のことが一番気になるため、自分のことを知ろうとしてくれる人、理解してくれる人に対して好意を抱きます。
自分の話だけをペラペラとしてくるばかりの人に好意は抱きません。
一方、相手に対してしっかりと共感を持ち、自分の話を聴いてくれる人は、自分のことを理解してくれる人だと認識し、関係が良好になり、信頼が生まれます。
「傾聴」の本質を知ること
「傾聴」の姿勢として、よく言われるのが「相手の立場に立って考えなさい」ということです。
よく聞く言葉ですよね。
でも、相手の立場に立つことが、超難しいことだと私たちは知っています。
ここで必要になってくるのが、相手の考え、価値観、世界に近づいていくことです。
相手の立場に立てないのは、圧倒的に相手の情報が足りないからです。相手を知らずに相手の立場に立てません。そこで、相手の話に耳を傾け、適切な質問をし、相手の考えていること、感じていることを知る「傾聴」が必要になるのです。
「傾聴」の基本スキルを6つ紹介
ここまでで「傾聴」の重要性について、ご理解いただけたと思います。
ここからは、「傾聴」のために必要な基本的なスキルについてお話していきます。といっても、難しいことを言うつもりはありません。今日この瞬間から実践できるものばかりです。
実践し続けることで、確実に力になりますので、毎日意識して取り組んでいただければと思います。
傾聴の基本スキル① 話しやすい雰囲気づくり
コミュニケーションは、当然のことながら相手がいる状況ですので、話しやすい雰囲気を作り出すのは、とても重要です。
表情や態度など、相手が話しやすい(自分が話したくなる)状況を作り出しましょう。本題の前に、雑談などで共通点を見つけられると、よりコミュニケーションがうまくいきやすくなります。
また、身を乗り出すなど、相手を理解しよう、聴こうとする姿勢を見せるのも効果的です。
傾聴の基本スキル② スマイル(*^-^*)
笑顔は、最強のコミュニケーションスキルです。笑顔になるだけで、安心感や落ち着きを与えることができます。
イライラした怖い顔の人に、自分の話を聴いてほしいなんて思いませんよね。
スマイルは、「傾聴」に必須なスキルです。
傾聴の基本スキル③ うなずく、相づち
相手に「話を聴いてもらえている」と感じてもらうためにうなずきや相づちは、非常に重要です。
聴いている側に何もアクションがなければ、相手は不安になってしまいます。
相手の話すリズムや流れに合わせて、効果的に行うことで、相手の世界観に入っていきやすくなります。
傾聴の基本スキル④ 相手の言葉を繰り返す
使い方をマスターすれば、非常に効果的なスキルです。「話を聴いてくれている」から「私を理解してくれている」という気持ちにつながっていきます。
重要なのは、心の込め方です。
NGな例
相手:「昨日なんですけど...」 私:「あぁ、昨日なんですね。」
相手:「急に父が倒れてしまって...」 私:「父が倒れてしまったんですね。」
相手:「脳梗塞だって言われたんですけど...」 私:「脳梗塞だって言われたんですね。」
相手:「私、どうすればいいのか不安で...」 私:「どうすればいいのか不安なんですね。」
これでは、ただのオウム返しです。話を聴いてもらえているというより、むしろ馬鹿にされている気持ちになってしまうかもしれません。
OKな例
相手:「昨日なんですけど、父が急に倒れてしまって。脳梗塞だってことなんですが、私、もうどうすればいいのか不安で...」
私 :「急なことで、大変でしたね。不安なお気持ちよく分かります。これから、どうしていくか一緒に考えていきましょうね。」
淡々と相手の言葉を繰り返すのではなく、共感しながら適切なタイミングで話を繰り返すと、相手の信頼感が大きく向上することにつながります。
傾聴の基本スキル⑤ 相手に興味を持つこと
相手の話に関心を持つと、自然と質問も増えていきます。相手の世界により近づいている合図です。
相手の話に興味を持つことで、目の動きやしぐさなど、非言語的コミュニケーションが表面化してきます。人間は、相手の感情を読み取って反応することができる生き物です。
相手が自分の話を聴いてくれていると感じ取ってもらえると、よりコミュニケーションも円滑になってきます。
傾聴の基本スキル⑥ 相手の話を遮断しない
相手が話している最中に、自分が知っていたり、関連があったりするからといって、話をかぶせていくのはNGです。
相手が話したいと思っている気持ちを著しく低下させてしまう行為です。
自分がいくら話したくても、相手の話が終わるまで、きちんと聴く姿勢が大切です。
傾聴の基本が習慣化できれば最強
ご紹介した6つのスキルは、それほど難しいことではありません。毎日意識的に実践することで、確実に身についていきます。
ここで大切になるのが、「常にできているか」ということです。
意識的にできることから、無意識でもやっている状態になることができれば、それが習慣化されたことになります。
「傾聴」が習慣化されれば、最強のスキルが身についたことになります。あなたのコミュニケーション能力や信頼感は、爆発的に向上していることになるでしょう。
そして、さらに大事なのが、「相手に意識が向いているか」を意識できていることです。
自分自身に意識が向いていると、自分の話をしたくなります。これは、傾聴のスキルから外れてしまう可能性があります。自分の意識がどこに向いているのかを常に意識しておくことが大切です。
まとめ
「傾聴」の重要性と基本的なスキルについてお話してきました。
また、今回ご紹介してきた内容は、多くのコミュニケーションに関する本に共通して書かれているものばかりです。
有名なところでは、『人は聞き方が9割』や『自分の小さな箱から脱出する方法』、『またすぐに! 会いたくなる人の話し方: 「相手を主人公にして話す」という全く新しいスキル! 』などでしょうか。
もしかしたら、現段階では「傾聴」ができていない方もいるかもしれません。しかし、今回ご紹介した基本スキルを意識的に取り組むことで、確実に身についていきます。
まずは、「知っている」から「やれる」という状態になりましょう。
そして、この「傾聴」が習慣化できれば、あなたの強力な武器になります。
職場での人間関係だけでなく、あらゆる場面での人間関係をより良いものに導いてくれるでしょう。