介護職員の勉強部屋 生活相談員の勉強部屋

介護支援専門員(ケアマネ)更新研修って何をするの?講義・演習内容とポイント解説 第1日目

スポンサーリンク

広告表記

※アフィリエイト広告を含みます

スポンサーリンク

 こんにちは、ほしクズです。

 今年度、介護支援専門員の更新研修を受講しました。(現在、受講中です)

 介護支援専門員は、5年ごとに更新が必要であり、実務未経験者やすでに失効している人向けにも研修が行われます。この研修は、全8日間で構成されています。1日目と2日目については、今年度介護支援専門員実務研修を合格した人と一緒に、全体研修が行われます。

 今回は、1日目の講義内容について解説していきます。

介護支援専門員の更新について

 介護支援専門員は、介護保険法においてその位置づけがされています。介護支援専門員の役割や更新についても明記されていますので、介護支援専門員として業務に携わるためには、きちんと手続きを行う必要があります。

介護保険法第7条 第5項

 介護保険法第7条では、介護支援専門員の定義について明記されています。

 この法律において「介護支援専門員」とは、要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス若しくは地域密着型介護予防サービス又は特定介護予防・日常生活支援総合事業(第百十五条の四十五第一項第一号イに規定する第一号訪問事業、同号ロに規定する第一号通所事業又は同号ハに規定する第一号生活支援事業をいう。以下同じ。)を利用できるよう市町村、居宅サービス事業を行う者、地域密着型サービス事業を行う者、介護保険施設、介護予防サービス事業を行う者、地域密着型介護予防サービス事業を行う者、特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するものとして第六十九条の七第一項の介護支援専門員証の交付を受けたものをいう。

(定義)介護保険法第7条 第5項

介護保険法第69条

 介護保険法第69条では、介護支援専門員の登録や専門員証の発行と交付、更新研修等について明記されており、介護支援専門として働くためには、忘れてはならない項目が書かれていますので、オチがないように確認が必要です。

 ここでは、特に重要な部分について確認のため、掲載しておきます。

 介護支援専門員は、研修を受けただけでは業務を行なえず、その後に都道府県に登録を行い、介護支援専門員証の交付も必要になりますので注意しましょう。

○介護支援専門員の登録

 厚生労働省令で定める実務の経験を有する者であって、都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う試験(以下「介護支援専門員実務研修受講試験」という。)に合格し、かつ、都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う研修(以下「介護支援専門員実務研修」という。)の課程を修了したものは、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県知事の登録を受けることができる。

介護保険法第69条の2

○介護支援専門員の交付等

 第六十九条の二第一項の登録を受けている者は、都道府県知事に対し、介護支援専門員証の交付を申請することができる。

介護保険法第69条の7第1項

 介護支援専門員証(第五項の規定により交付された介護支援専門員証を除く。)の有効期間は、五年とする。

介護保険法第69条の7第3項

○介護支援専門員証の有効期間の更新

 介護支援専門員証の有効期間は、申請により更新する。

介護保険法第69条の8第1項

 介護支援専門員証の有効期間の更新を受けようとする者は、都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う研修(以下「更新研修」という。)を受けなければならない。ただし、現に介護支援専門員の業務に従事しており、かつ、更新研修の課程に相当するものとして都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより指定する研修の課程を修了した者については、この限りでない。

介護保険法第69条の8第2項

講義① 介護保険制度の理念・現状及びケアマネジメント

 この講義での目的は...

 ①介護保険制度の理念の理解する

 ②地域包括ケアシステムの構築に向けた現状と取り組みについて理解する

 

 この講義と言うより、この研修で常に出てくるキーワードは...

利用者本位・利用者の選択の尊重・自立支援

の3つです。

 これが、介護保険制度の理念でもあり、ケアマネジメントの本質でもあるからです。介護支援専門に限らず、福祉に携わる全ての職種に必要な視点ですね。

介護保険制度の枠組み

 ここでのポイントは、以下のとおりです。

○介護保険制度の運営責任者は、保険者である市町村が担います

○介護保険制度の加入者は、被保険者である65歳以上の第1号被保険者40歳~64歳の第2号被保険者です

○保険事故は、要介護状態もしくは要支援状態になることで、保険者(市町村)が決定します。※第2号被保険者については、原因が特定疾病の場合になります

○保険給付は、介護給付予防給付に分かれます。

 ・介護給付...要介護の方に対する介護サービスの提供、ケアマネジャーによるケアマネジメント

 ・予防給付...要支援の方に対する予防サービスの提供、ケアマネジャーによるケアマネジメント

 介護保険制度の運営主体は市町村となりますので、要介護認定や各種手続き等については、市町村にて行うことになります。

介護保険制度創設のねらい

 介護保険制度は、2000年(平成12年)に施行されました。

 介護保険制度創設前の問題点

○老人福祉分野では、市町村がサービスの種類や提供機関を決めるため、利用者がサービスの選択をすることができないことやサービスが画一的で競争原理が働かないという問題がありました。

○老人医療分野では、介護を理由とする一般病院への長期入院(いわゆる社会的入院)の問題が発生していたり、介護を要する者が長期に療養する場としての体制が不十分な状況にありました。

 つまり、従来の老人福祉施策や老人医療施策では、今後の超高齢社会を迎えるにあたって限界を迎えていたわけです。

 今後の高齢化の進展に伴い、要介護高齢者の増加、介護期間の長期化など、介護ニーズはますます増大する可能性があり、家族状況の変化も進むため、高齢者を社会全体で支える仕組みが必要となりました。また、社会的入院の解消社会保障制度改革の実施の必要性も高まりました。

 これが、介護保険制度創設の背景です。

 こうして、介護保険制度が創設されたという流れになります。

介護保険制度の改正等のポイント

 介護保険制度は、2000年(平成12年)の施行以来、3年に1回の見直しが行われています。

 制度改正の目的は...

○介護保険料や社会保障費の抑制をする

介護の質の向上

○介護保険制度を持続していくための仕組みを構築していく

 また、今後の改正を見ていく中では、介護保険制度の実施状況についても理解していく必要があります。

 実施状況については、厚生労働省のホームページに全国版や都道府県別のデータが掲載されていますので、関心を持って見て頂くことをおすすめします。

 厚生労働省の介護保険事業状況報告から、確認する事ができます。

ケアマネジメント導入の意義

 ケアマネジメントは、介護保険制度の理念に基づいて、その実現のために必要なものになります。ケアマネジメントが必要な理由でもあります。

○利用者や家族が自ら情報収集し、自分のニーズに合ったサービスを選択することは難しい

○真に解決すべき課題を探り、解決に向けた提案や支援が必要

○利用者の立場に立ってサービスを調整し、利用者にふさわしい適切なサービスを確保し、利用者のQOLの維持向上を目指す。

 ちなみに「ケアマネジメント」という言葉に、法律上の定義は存在していません。その内容については、「厚生労働大臣が定める介護支援専門員に係る研修の基準」において、ケアマネジメントについて記載されています。

 ケアマネジメントも、基本的には利用者本位・利用者の選択の尊重・自立支援が根底にあります。

地域包括ケアシステムの基本的な考え方

 平成26年6月26日「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」にて、地域包括ケアシステムの構築等について明記されています。

 詳細については、厚生労働省のホームページのイメージ図をご覧いただくと分かりやすいと思います。

 地域包括ケアシステムが必要な背景としては、次のことがあげられます。

○高齢者単独、夫婦のみの世帯の増加

○要介護(要支援)高齢者や認知症高齢者の増加

○介護給付費の増加

○介護の人材不足

 地域包括ケアシステムの取り組みでは、次のような事が求められます。

○在宅医療・介護連携の推進

○認知症施策の推進

○地域ケア会議の推進

○生活支援サービスの充実・強化

 2025年(令和7年)に向けた介護保険事業計画の策定における介護支援専門員の役割としては、「利用者の尊厳の保持と自立支援を追求し続けること」、「業務を通じて感じたことに基づき、地域づくりへの提案や参画をすること」は必要になります。


講義② ケアマネジメントに係る法令等の理解

 

 この講義の目的は...

○法令を遵守し、介護支援専門員の業務を適切に遂行できるように正しく理解する

介護保険制度の意義と目的

 「講義①」でも触れたように、介護支援専門員がケアマネジメントを実践していくには、介護保険の意義や目的を理解しておく必要があります。

 要介護者の生活全般の状況を総合的に把握し、生活全般の解決すべき課題に応じたサービスを一体的に提供する機能を果たす「人や機関の必要性」を明らかにしたもの

 

 関連制度の理解もケアマネジメントを実践する上では必要なります。

○生活保護法

○障害者総合支援法

○老人福祉法

○育児・介護休業法   など

 他の制度についても理解し、活用することによって業務が深まります。これらの制度を活用しながら、有効に連携していく能力が必要になります。

 この講義では、各法令のポイントなどについて確認をしていきましたが、実際にその制度を活用する際に、その都度勉強したり確認していく必要があります。そのため、細かい法令の内容は割愛します。


講義③ 人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理

 この講義の目的は...

○人権と尊厳を支える専門職として求められる姿勢を学ぶ

○守秘義務を順守したケアマネジメントの意義・重要性について理解する

○倫理の必要性を判断できる

○生活を守るための制度の内容や利用方法

人口構造についての理解

 今後の介護保険制度を運用していく上で、2040年代に直面する課題について理解しておく必要があります。

 今回の講義の中で述べられていた主な課題は以下のとおりになります。

○出生数の激減

○高齢者の激増

○勤労世代(20~64歳)の激減に伴う社会の支え手世代の減少

○総合して人口減少社会となること

 介護業界の人で不足が話題になりますが、人口減少社会になるとあらゆる分野での働き手が不足し、いろいろなサービス(宅配,公共交通機関の運転など)維持できなくなります。

 2040年以降になると...

○非正規雇用・未就労等の低年金や無年金者の増加により、貧しい高齢者が増加する

○住民の半分以上が高齢者という「限界自治体」が3割を占める

○働く人がいない

 このような社会問題が遠くない未来に訪れることを理解しておくことを知っておくことが必要になります。

介護サービス利用者の現状と今後について

 次に私たちが提供しているサービスの利用者層についてもきちんと把握しておく必要があります。

 現在のサービス利用者は、主流が(85~95歳)ですが、少しずつその下の世代の利用者も増加してきています。2025年以降では、一番人口の多い団塊の世代の利用が増えてきます。

 利用者の年齢層で考えると、100歳以上の利用者と75歳くらいの利用者が同じサービスを利用することになります。

 ジェネレーションギャップなど、世間話の中で話題になることがありますが、介護の利用者においても全く価値観の異なる世代が同じサービス提供を受けることになります。

 どういう事かというと...

現在のサービスでは、利用者のニーズに応えられなくなるということ

 例えば、インターネットが当たり前の時代に、施設で無料Wi-Fiの設備が整っていなかったり、同じ体操、同じ食事の提供であったり、決められた時間での入浴であったり、社会参加の場面がなかったり...

 私たちが、今の価値観でこれほど窮屈なサービスを利用したいと思うでしょうか?

これらの問題をいち早く理解し、行動しなければ手遅れになってしまいます

家族・世帯の急激な変化

 身近なところでは、家族や世帯の変化にも目を向けていく必要があります。

 核家族化だけでなく、家族の少人数化や単身世帯の増加、一人で多人数を介護する状況の中で、「大家族時代」の役割を「少数家族」に負わせようとする今までのような介護サービス計画の作り方では無理が生じるということになります。

出典:令和元年度 国民生活基盤調査
出典:令和元年度 国民生活基盤調査

 介護支援専門員は、利用者の意向やニーズに合ったサービスを調整することも重要ですが、こういった社会情勢の変化についても、常に情報を取り入れていくことも必要になります。

介護支援専門員としての基本姿勢

 介護支援専門員としての基本姿勢とは、哲学・倫理・理念につながるものです。介護支援専門員が、自らを客観視し、律し続ける強い気持ちがなければなりません。

 そこにプラスして、「知識」・「技術」・「感性」・「専門性」などを高めることが必要になります。

 そして介護支援専門員が常に意識しばければならない基本的な価値観として、介護保険法第1条「介護保険制度」の目的を理解しておくことが重要になります。

(目的)第一条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。

つまり「基本的人権の尊重」「自己実現の達成」になります。

介護支援専門員の倫理について

 介護支援専門員の倫理綱領より、重要な部分について確認していきます。

 倫理とは、業務を遂行する上で遵守すべき判断基準になります。

 ケアマネジメントのプロセスを通じて、利用者を中心に多職種と共に、介護保険制度を中心に多岐にわたる制度やインフォーマルサポートを駆使し「利用者の望むその人らしい生活」の実現を目指して支援する。

 これを実現していくために、「自己覚知」と「自身の価値観の自覚」が重要です。

 自らを理解することにより、自分の感情や行動に対する傾向を掴み、その対策をすることができるようになります。自分のプラスの側面とマイナスの側面の両方をきちんと知っておくことが大切です。

ケアマネジメントの課題

 介護保険において、類型化したサービスに利用者の状態を特定して結びつける一連の手続きにケアマネジメントが使われています。これにより、ケアマネジメントの機能の一部「連結」のみが肥大化し、アセスメントが類型に分類することだけになってしまっています。

 利用者が尊厳を保ち、自分らしく自立した生活を送るためには、サービスはその「質」と「量」が、利用者のもとに過不足なく効果的に統合されており、生活主体者である本人を中心に、その主体的参加のもとに提供される必要があります。

 介護支援専門員として、ただの「御用聞きケアマネ」や「事務代行ケアマネ」になるのではなく利用者を中心としたケアマネジメントが実践される必要があるのです。

介護支援専門員更新研修(※実務研修も含む)1日目のまとめ

 第1日目は、介護保険制度の理念、介護保険の理念、法令遵守、介護支援専門員の役割・基本姿勢・倫理、介護支援専門員の課題についての講義が中心でした。

 この部分がぶれてしまうと、専門性をもった介護支援専門になるのは難しく、一番重要な部分であると感じました。

 実務研修は全13日間、更新研修は全8日間と長丁場になりますが、今回の記事を参考にふり返りを行い、次の研修につなげていってほしいと思います。

 2日目以降についても、今後まとめていく予定ですので、よろしければ参考にしてみて下さい。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

-介護職員の勉強部屋, 生活相談員の勉強部屋