こんにちは、ほしくずのクズきちです。
この度、無事に介護支援専門員の再研修を終えることができました。4月からは施設のケアプランや認定調査などにも関わっていけたらと思っております。
今回の研修を通じて、アセスメントの重要性やケアマネジメントに必要な視点、倫理観や価値観を再確認することができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。この研修で学んだことを常に意識して業務に取り組むことが理想ですが、残念なことに人は忘れてしまう生き物であります。
そこで、今回のこの貴重な経験をブログに残し、自分が迷った時に立ち返れるようにしておきたいと思い、記事にまとめていきたいと思います。
この記事には、演習内容・グループワークの【ネタバレ】が含まれていますので、これから研修を受講予定の方は、参考程度に読んで頂き、きちんと自分の考えを持って研修に臨んで頂きたいと思います。
とはいっても、グループワークが苦手な人もいらっしゃると思いますので、そんな方のお力になれたら嬉しく思います。
脳血管疾患の事例で学ぶポイント
・脳血管疾患の特徴を理解する
・脳血管疾患による神経障害を知る
・ケアマネジメントによる見通しの重要性を理解する
・あらゆる場面を想定した情報を収集することができる
細かな解説や演習事例の詳細については、テキストを確認して下さい。
それでは、具体的な内容に入っていきたいと思います。
脳血管疾患とは
脳血管疾患は、大きく分けて2つに分類されます。
「出血性脳血管障害」と「虚血性脳血管障害」です。
この分類によって、原因や治療方法、生活を送る上での注意点なども違ってきますので、ケアマネジャーとしては、そのことをきちんと理解しておく必要があります。
出血性脳血管障害
出血性脳血管障害には、「くも膜下出血」と「脳出血」があります。
くも膜下出血
主に脳の動脈にできた脳動脈瘤が破裂して、くも膜と脳の間に出血が起こる病気です。
症状としては、急な激しい頭痛が出現し、脳動脈瘤の破裂直後に重篤な状態になることが多く、たとえ出血量が少なくても再出血の危険性が高いため、一刻も早い脳動脈瘤の治療が必要です。
脳出血
脳内の細かい血管が切れて出血する病気です。
出血した場所により症状が異なりますが、主に言語障害や麻痺などが起こります。脳出血によって起きた障害は、後遺症になりやすいため、予防が最も重要となります。
特に日常的に血圧が高めの人は、血圧の急激な上昇などに注意を向けることが必要です。
虚血性脳血管障害
なんらかの原因により、脳の動脈が詰まり、脳細胞が壊死した状態になり、一般的な「脳梗塞」と「一過性脳虚血性発作」に分かれます。また、脳梗塞は、いくつかの種類に分けられます。
脳梗塞
脳梗塞の起こり方によって「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳梗塞」に分けられます。
ラクナ梗塞
脳の細い血管に長い間圧力がかかり続けることにより、血管壁が厚くなり血流が通りにくくなることで、多くの血管が詰まる状態になります。一般的に睡眠中に起こることが多いとされています。
「ラクナ症候群」といい、運動麻痺やしびれが起こりやすくなります。
ラクナ梗塞が多くの場所で発生した場合、徐々に症状が進行していく場合もあり、「多発性脳梗塞」となります。多発性脳梗塞は、脳血管性認知症の要因となるため、合わせて知っておくと良いと思います。
多発性脳梗塞にまでなると、言語障害・歩行障害・嚥下障害なども起こります。
アテローム血栓性脳梗塞
脳の太い動脈に動脈硬化が起こり、血栓によって血管が詰まることで発症します。
動脈硬化のうち「粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)」が、アテローム血栓性脳梗塞の原因となります。
原因となるアテローム動脈硬化は、高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病により発生したり、進行したりします。
詰まる血管によって症状は様々で、片目が一時的に見えなくなったり、片方の顔面や手足の感覚が鈍い、うまくしゃべれないといった症状が出現します。
心原性脳梗塞
心臓にできた血栓が脳の太い動脈を詰まらせて起こる脳梗塞です。
日常生活で突然発症し、手足の麻痺・感覚障害・意識障害などの症状が一気に強く出現する特徴があります。
一過性脳虚血発作(TIA)
一時的に血栓が脳の血管に詰まることで起こり、数分~24時間以内に症状が消失します。
症状としては、手足に力が入らない・眩暈・普通でない頭痛などです。これらの症状が一時的に出現すると、90日以内に脳梗塞を起こす可能性が15~20%と言われていますので、早期の検査が必要と言えます。
脳血管疾患による神経障害
神経障害とは、さまざまな身体機能に対して起こる障害で、脳血管障害でよくみられるものについて、ケアマネジャーとしてはきちんと理解しておく必要があります。
その症状に合わせたアセスメントやニーズの確認、具体的なサービス内容を検討する必要があるからです。
主な神経障害
・運動障害 ・言語障害 ・感覚障害 ・視野障害 ・排泄障害 ・嚥下障害 ・高次脳機能障害 ・血管性認知症
脳血管疾患に関する事例・演習
脳血管疾患に関する事例では、脳出血で入院しているクライアントについて、退院して在宅で生活するにあたり、「初回面接において必要な情報」「在宅に戻るにあたってさらに必要となる情報」「どのような見通しが立てられるのか」について考えていきます。
ご本人の意向や望む姿、生活を考えながら検討していきましょう。
初回面接での情報収集
まずは、初回面接を行う前に、「どのような情報を必要としているのか」、「誰からその情報を集められそうか」をある程度イメージして準備しておくことが重要です。
何も考えずに、話を聞くだけでは、自分が必要とするはずの情報を十分に集められなかったり、在宅生活をイメージした情報収集がうまく行えないからです。
今回の事例を考えるにあたり、主に必要となる情報は以下のようにまとめられます。
初回面接での情報収集と必要となる理由
・病状についての情報...入院中の経過、予想される状態、今後の受診や治療方針を確認するために必要
・麻痺や言語障害の状態とリハビリの状況...必要となる介助場面、可能な動作、在宅でできるリハビリ内容、今後改善が見込まれる機能などについて確認するために必要
・生活に対する不安...必要な介護サービス、活用できる社会資源やインフォーマルなサービスを検討するために必要
・妻の不安や負担感...精神的ケア、活用できるインフォーマルなサービス等の検討に必要
・経済状況...介護サービス等の導入にあたり、どれくらいの費用をかけることができるのか ※初回で聞きにくい内容、タイミングや時期を見て確認するのもあり
これらの情報について、主治医や看護師、リハビリ専門職、病院の医療ソーシャルワーカー、ご家族などから確認していきましょう。また、自事業所の先輩ケアマネジャーに、以前に関わった事例などから支援のヒントをもらっておくことも重要です。
サービス計画策定に必要な情報
初回面接で得た情報を元に、居宅サービス計画を作成していきます。しかし、初回面接で得られた情報だけでは不十分であり、サービス計画作成に必要な情報や視点を検討していく必要があります。
得られている情報と合わせてより具体的な状況を把握できるように努めましょう。
計画策定に必要な情報
・自宅の間取り、ベッドの有無、段差などの住環境...在宅での生活が不安なく送れるような環境整備が必要
・入浴介助の方法、浴槽の形...妻がひとりで介助を行えるのか、サービスの導入が必要なのかを検討
・トイレ・排泄介助 妻がひとりで介助を行えるのか、サービスの導入が必要なのかを検討
・食事形態・食事介助...準備が可能か、 妻がひとりで介助を行えるのか、サービスの導入が必要なのかを検討
・経済的な状況...サービスの頻度、必要性についての検討
初回面接の情報を踏まえた上で、より具体的に在宅での生活をイメージし、必要な情報を集めることで、質の高いサービス計画を作成につなげることができます。
今後の見通しについて考える
サービス計画に必要な情報が集まったら、その後の見通しを立てながらニーズ見極めていくことが必要です。状態変化やご本人、家族の気持ちの変化なども捉えながら、評価・見直しを行っていくことが重要です。
見通しについては、「~の可能性がある」「〇〇のようになっていく」など念頭に考えていきましょう。
課題整理総括表などの活用については、介護支援専門員の専門研修1で詳しく研修されるないようですので、この段階では可能性を探り、ニーズに結びつける道筋のイメージができていれば良いと思います。
例えば
・トイレへの移動が可能になり、移乗動作が改善する事により、ひとりでトイレに行くことができる
などのような感じです。
日常生活の阻害要因となっているものと合わせて考えてみると良いと思います。
阻害要因となりえるもの
・右片麻痺
・妻の介護力、精神力
・言語障害
・住環境
ここまで来て、初めて具体的なニーズを捉えることができ、ケアプラン作成の準備ができた段階となります。
研修のまとめ
脳血管疾患は、日本人の死因で3位に入ることもあり、高齢になれば誰でも起こる可能性があります。まずは、疾患に対して正しい知識を身につけておくことが重要です。
また、この回の演習事例では、情報収集と課題分析に焦点が当てられました。ケアマネジャーとして経験を積むと、つい以前のケースに当てはめがちになり、パッケージ化されたケアプランが作られてしまいやすくなります。
きちんとした情報収集とアセスメントにより、初めてニーズを的確に捉え、ご利用者に合わせたケアプランが作成できることを理解しておきましょう。
脳血管疾患に関する事例についての研修まとめは以上です。お疲れさまでした。