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【2024年度介護報酬改定】介護業界に厳しいマイナス改定は避けられない3つの理由と今できること

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 こんにちは、ほしくずです。

 今回は2024年度介護報酬改定について考えていきたいと思います。

 2024年度の介護報酬改定については、厚生労働省に先行して財務省が社会保障費の削減を念頭においた「利用者の負担割合原則2割」「ケアプランの有料化」「要介護1・2を軽度者として総合事業への移行」など、介護保険利用者や介護事業所にとって、どちらかというとネガティブな情報が多く出ています。

 そんな中、今回の介護報酬改定がマイナス改定になる可能性が高いという見方があります。良くてもプラスマイナスゼロか。

 マイナス改定は、事業所の経営を左右するとても重大な問題です。今回は、マイナス改定になる理由についてまとめていき、2024年度以降の事業所運営について考えるきっかけにしていただければと思います。

介護報酬改定とは?

 介護報酬改定は、3年周期で改定されており、前回の2021年度の介護報酬改定では全体で0.7%のプラス改定という結果でした。その前の2018年の介護報酬改定が0.54%のプラス改定であったため、それを上回る報酬改定となりました。

 また、2021年度からはLIFE(科学的介護情報システム)の運用が本格的に始まりました。今後の報酬改定については、LIFEに注目していくことが重要になってくると思われます。

介護報酬改定の推移

 2000年介護保険制度開始から、これまでの報酬改定について、少し確認してみましょう。

報酬改定年度介護報酬の改定率
2003年度ー2.3%
2006年度ー2.4%
2009年度+3.0%
2012年度+1.2%
2015年度ー2.27%
2018年度+0.54%
2021年度+0.7%

 単純な見方ですが、プラス改定・マイナス改定のバランスを見る限り、マイナス改定かなってなんとなく予想されます。

前回のマイナス改定2015年度の衝撃

 2015年度の介護報酬のマイナス改定は、多くの事業所にとって非常にダメージが大きい結果でした。

 基本報酬マイナス4.48%とという事実

 処遇改善加算の関係でプラス1.65%、その他、事業所の取り組みによってプラス0.56%などを含めてもマイナス2.27%でした。

 基本報酬のマイナス分を補うには、各種加算を算定する必要がありました。しかし、加算を取得するためには、経験ある職員や資格のある職員をさらに追加で採用しなければならず、基本報酬が下げられた中で、多くの事業所を苦しめる原因となりました。

 これがまら繰り返される可能性があることを考えると、小さな事業所、小さな法人はヤバい状況になります。

2024年度介護報酬改定がマイナスになる理由

 考えたくもないが、物事は最悪の状況を想定していた方が、楽観視しておくより準備ができます。今回も2015年度のような衝撃的な報酬改定になることを想定しておくことは、決して無駄ではないはずです。

 ここからは、マイナス改定になる理由について考察していきたいと思います。

マイナス改定になる理由① プラスマイナスのバランス

 これは、単純すぎるので根拠としては弱いですが、今までの報酬改定は、マイナスが3回プラスが4回なので、今回はマイナスでもいいだろうという短絡的な官僚の考え方が生まれる可能性があることです。

 先ほどの表を見ると、今まではマイナスが先行し、その後プラスで帳尻を合わせている印象があります。となると、プラス改定が先行している現状、今回はマイナスになる可能性が高いという考え方です。ちょっと単純ではありますが、あると思います。

マイナス改定になる理由② 介護保険制度の優先度が低い

 「新型コロナウイルスに関する感染対策」「物価高騰への対応」「ウクライナとロシアの戦争に端を発した防衛問題」など、今政治が取り組まなければならない課題は山積みです。

 これから先の日本の未来を占う重要な局面にきている中で、介護保険関連施策に関する優先度は低いというのが現状です。介護よりも財政赤字の改善や社会保障費の削減防衛費の増額などが優先される可能性が極めて高い状況です。

 介護を削って他にまわすという考え方、もしくは介護なんて眼中にないということが起きる可能性があるんです。

マイナス改定になる理由③ 診療報酬改定と重なる

 2024年度は、介護報酬改定と合わせて診療報酬改定も行われます。残念ながら、介護は医療を上回ることはできません。業界団体の力関係を見ても、医療系の方が圧倒的に力が上です。

 先の参議院選挙結果を見てみても、医師会・歯科医師会・看護協会・薬剤師会などの医療系団体が支持する候補者は、全員当選しています。一方、介護業界系の候補者落選しました。

 政治に与える影響力が、介護系は圧倒的に弱いので、診療報酬改定にとってプラスに働く可能性が高いのです。

介護報酬マイナス改定で何が起きるのか?

 介護報酬マイナス改定は、事業所に間違いなくダメージを与えます。特に基本報酬がマイナスとなれば、事業を支える収入の根幹を揺るがす事態になります。

 そうなると、待遇が改善されている介護職員が働く環境に影響があるだけでなく、事業所のサービスの中止や撤退が増え、サービス量が確保できなくなります。残された事業所に負担がまわり、介護保険サービスを利用したくても、利用できない状況が起こってきます。

 高齢者は増えるのに、それを支える事業所が運営を維持できない

 介護保険制度の根幹を揺るがす事態が想定されます。現状では、それが起こる可能性が極めて高いことを認識しておきましょう。

基本報酬マイナスで考えた場合の試算

 わかりやすくするために、介護報酬の基本報酬が2015年にならって基本報酬マイナス4.5%された場合に、どれくらいの減収になるのか試算してみます。

 従来型特別養護老人ホーム(定員100名)の場合

 ※わかりやすくするため、入所者全員要介護3で、稼働率100%と仮定してます。

 現行の基本報酬

7,120円(712単位) × 100名 × 365日 = 259,880,000円

 

 基本報酬がマイナス4.5%

6,800円(680単位) × 100名 × 365日 = 248,200,000円

 つまり、259,880,000 - 248,200,000円 = 11,680,000円

 なんと一千万以上のマイナスになるんです。

事業所としてできること

 マイナス改定が想定されるまで、何も準備をしないわけにはいきません。私たちは、自分たちが働く事業所を守るため、そして何より今介護を必要としている人たちの生活を守るために行動しなければなりません。

 そのために、今できることを考えていくことが重要です。

対策① 現状の加算で算定できるものがないか検証

 基本報酬とは別に、現在は多くの加算が設定されています。現状算定できそうな加算がないか、もう一度確認しておくことが必要です。

 例えば、私の事業所ではサービス提供体制加算Ⅰから日常生活継続支援加算Ⅰへ変更しました。

サービス提供体制加算Ⅰ(22単位) ➡ 日常生活継続支援加算Ⅰ(36単位)

 入所する方の介護度や認知症生活自立度などを確認した結果、このように変更することができました。

 また、褥瘡マネジメント加算Ⅰを新たに算定しました。

褥瘡マネジメント加算Ⅰ(3単位)

 現状やっていることや新たに取り組みを始めたことが加算につながる可能性があります。

 まずは、加算の見直しを行いましょう。

対策② LIFEへの登録は必須

 基本報酬がマイナスになる分、加算で補うというのは今までにもあったやり方です。2021年度にLIFEの運用が本格化されたことを受け、今回の改定では、LIFE関連の加算がより一層増える可能性があります。

 LIFEへの登録を済ませていない事業所はすぐに登録すべきですし、加算関係もこれからはLIFEを中心に展開されていくことを考えると、LIFE関連の加算の算定についても検討しておいたほうが良いでしょう。

対策③ 業務の見直し

 施設・事業所の運営を考えれば、マイナス改定で収入が減少する中、新たに職員を雇い入れることが難しい状況が考えられます。

 今のうちに、業務改善を行うことは必須です。人手不足を嘆いていても、人が増えることはありません。今ある状況の中で何ができるのかを考える方が有効であることは間違いありません。

 無理・無駄・ムラの削減はもちろん、ICTやDX、介護ロボットの活用なども視野に入れ、様々な視点で検討することが必要です。

 

まとめ

 今回の記事は、あくまで予想に過ぎません。できれば起きてほしくない介護報酬改定を想定しましたが、最悪の事態に備えておくことが重要です。

 記事でご紹介したように、マイナス改定になる理由は、現に存在しています。財務省からも社会保障費の削減が求められている中、マイナス改定に備えて、今からどうすべきなのかを考えておきましょう。

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