「これからどうするかを考えられない」
「誰かがやってくれると思っている」 残念ながら、終わりです。
こんにちは、ほしくずです。
今回は、2024年度介護報酬改定以降、衰退していく可能性が極めて高い施設や事業所の考え方についてまとめていきます。
次回の介護報酬改定が、介護業界にとって厳しいものになる可能性について、このブログでもいくつかの記事で紹介してきました。
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今回は、そんな介護業界に転換期にあっても、悠長に構え、変わろうとしない施設のヤバさについてまとめていきます。
2024年度介護報酬改定が厳しいものになる可能性
関連する記事でも解説していますが、2024年度の介護報酬改定は、介護業界にとっても介護保険利用者にとっても厳しい内容になる可能性が高くなっています。
簡単に言うと、以下の点においてです。
ポイント
・介護保険を利用する人の負担が増える可能性がある
・施設の収入源である介護報酬が引き下げられる可能性がある
・収入が減るのに、介護職員の待遇を改善しなくてはならない
こんな感じです。いい想いをするのは、何もしなくても、今までと同じようなことをしていても、勉強しなくても、バカでも自動的に収入が上がる能天気介護職員ということになります。まぁ、そういう介護職員しかいない施設は、いずれ消滅するか、合併されるだけなんですが...。
消える施設の職員の特徴
さて、そのような介護保険制度の状況下でも、呑気に構えている施設の職員がどんな思考に陥っているのか、成長しない、変われない施設の考え方の特徴についてまとめていきたいと思います。
もし、自分の所属する施設・事業所で、これから紹介するような考え方がまん延しているようであれば、あと2年の間に組織を変えるために行動するのか、志の高い先見の明がある施設へ転職するのか、これからも介護に携わっていくのであれば、考える必要がありそうです。
消える施設の特徴① いつも誰かのせいにする
自分の周りにこんな人いませんか?
・文句や愚痴ばかり言っている
・人の悪口ばかり言っている
・いつも「誰か」や「何か」のせいにしている
もし、こういう人が自分の近くにいるなら、すぐに離れてください。組織全体がこのような人ばかりだと感じているなら、今すぐ逃げてください。
こういう思考の人は、周りに悪影響を与え、組織を停滞させます。
アドラー心理学に関するベストセラー書籍『幸せになる勇気』の一文を借りるなら、
かわいそうな私、悪いあの人
幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えII
「制度が悪い」「組織が悪い」「上司が悪い」...それで何かが変わりますか?あなたが、それを変えるだけの行動力があるなら話は別ですが、多くの場合、こういう人は自分事として考えられない可能性が高いです。
このような考え方が施設にまん延してるようなら、かなりヤバいです。
消える施設の特徴② 今しか見えていない
「あるべき組織の形は変わる」ということを理解していない、勘違いしている人が多くいる施設は消えていきます。
特に介護業界は、変わろうとする意識、成長するスピードが圧倒的に遅いです。
・今までのやり方や考え方への拘り
・経験や勘、感覚に頼った介護
・自発的に勉強しなくても良い環境
前回の介護報酬改定で、LIFEの運用が本格的に始まり、科学的介護の実践が求められるようになってきました。でも、未だにLIFEの登録をしていない施設やLIFEに無知な管理者、加算算定をしていない事業所があります。
先を見て、今から行動していかなくてはならない状況で、「今それで業務がまわっていればそれでいい」と考えているのであれば、2年後に痛い目にあうことを知っておいた方が良いでしょう。
消える施設の特徴③ 情報の取り扱いができていない
情報は、とても価値があるものです。情報を共有し、認識のズレをなくしていくことは、組織にとって非常に大切なことです。
ただ、情報の取り扱いについての意識づけができていない事業所では、情報がしばしば組織の混乱を招く場合があります。
知らされていないことを「情報共有ができていない」という勘違い
組織で動いていることを全て知らされていないと「情報共有ができていない」と騒ぐ人はいませんか?
「自分は聞いていない」「知らなかった」「教えてもらってない」こういう人って少なからずいると思います。
こういう人に限って次のような特徴があります。
情報にグダグダ言う人の特徴
・自分たちの持っている情報は提供していない、伝えていない
・「知るべき情報」と「知らなくてもいい情報」の区別ができない
・自ら情報を取りに行こうとしない
・誰に聞くべきなのか分かってない
知らなくてもいい情報を小耳に挟んだからといって、知ったところで何も変わりません。もし、必要だと思うなら自ら情報を集めて論点を整理してから議題にするべきです。
「知らなかった」ということだけで、「情報共有ができていない」なんて騒ぐレベルの人は、物事の本質が見えていない、ただ情報弱者になりたくないだけ...。
エピソード「ヤバい施設だとこうなる」
『抗原検査の活用』に関するお話。恥ずかしながら、私が勤務する事業所で、各事業所の責任者が集まる経営に関する会議でのお話です。
普段関わりがない人との接触機会が増える時期、施設に新型コロナウイルスを持ち込まないために、期間を限定してご利用者と関わる職員について、積極的に抗原検査キットを活用しようという内容です。まとめると以下のようなことです。
・入所施設は、職員が持ち込まなければ感染が広がることはない
・お盆や夏祭りの時期になり、県外から帰省する親族や行事などに参加するなど、普段接触することが少ない人と関わる機会が増える
・施設入所者であっても、病床数逼迫のため、入院できない事例が増えてきている
・県から抗原検査キットの配布に関する案内がきており、施設にもある程度まとまった数を確保できているため、利用者と接する機会が多い職員に対して、積極的に抗原検査キットを活用する
・期間を限定して実施する
この話の本質は『クラスターを繰り返してはいけない』『ご利用者を守らなければならない』です。
これが、今回のような特徴がある組織だと、以下のように解釈されてしまいます。今回の場合だと、検査の対象外とされた事業所の職員の解釈になります。
・同じ法人なのに、自分たち(職員)は守ってもらえないのか
・自分たちも、訪問した後に家族が陽性になったケースもあり、不安の中で仕事をしている
・検査対象者を限定するのはおかしい
わかりますか?全部『自分たち』に視点が向けられているんです。まさに「かわいそうな私、悪いあの人」の構図です。情報収集や整理もされていませんし、今目の前の事実にしか目が向けられていません。
この検査の目的・本質『クラスターを起こさないこと』『ご利用者の感染するリスクを減らすこと』であることを理解しようとせずに、表面上の事実に対して文句を言っているだけで、何の話し合いにも解決にもなりません。
思い付きで実施しているわけではなく、
○抗原検査キットの在庫数と配布に関する案内の確認。
○夏休みやお盆時期という感染が拡大するリスクが高い時期。
○ご利用者に感染させれば、重症化さらには死亡する可能性があることを経験上知っている。
きちんとステップを踏んで実施してるんです。介護・看護・相談員で情報を整理して、自ら施設長へ提案して実施したことですが...
もし建設的な話し合いにするのであれば、私だったらこのように言いますね。
ポイント
入所の方では、そのような対応をしているんですね。私たちも、最近訪問したあとに家族がコロナ陽性になったっていう話をよく聞くんです。これからお盆の時期にもなりますし、職員も感染してるかもしれないという不安やご利用者や家族に移してしまうかもしれないという不安があるので、抗原検査キットの活用について検討いただけないでしょうか。
検査の必要性を伝え、これからどうするかを検討してほしいという内容で伝えます。自分が対象外だったからといって、それを知らなかったからといって、わざわざ事業所間に摩擦を生じさせる言い方なんて全くする必要はなかったと思います。
そんな自分もヤバいかも
このような記事を書いている時点で、私も「かわいそうな私、悪いあの人」を体現してしまっていますね(笑)
要は自分の言葉や行動に責任を持てるかどうか、誰かのせいよりこれから自分はどうするのかを考えることが重要なんです。そして、この考え方を組織として持っていることが、2024年度介護報酬改定以降も事業を継続していくために必要な、基本的な考え方だと思います。
大切なのは、「あの人が悪い、あの人のせいで」と愚痴を言ったり、「こんな扱いをされて、私ってかわいそう」と同情を求めたりすることではなく、「これからどうするのか」っていうことなんですね。
まとめ
今回は、2024年度以降に消えてしまう施設の特徴についてお話してきました。
事業所を継続すること、介護を必要としている人にきちんとサービスを提供することが、福祉施設の使命です。
個人も事業所も俯瞰的な視点を持って、物事を考えていく癖を今のうちに身につけておきましょう。