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【解説】BCP(業務継続計画)の重要性と計画策定のポイント

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 令和3年度介護報酬改定の中で、度重なる自然災害や新型コロナウイルス感染拡大の現状を受けて、BCP(業務継続計画)の策定が義務付けられました。策定には、相応の準備等が必要となるため3年の経過措置が設けられていますが、2024年度には完全義務化されます。

 今回は、BCP策定の重要性と計画策定のポイントについて解説していきます。

 ※厚生労働省『新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン』を参考にしています。⇒https://www.mhlw.go.jp/content/000749533.pdf

BCP(業務継続計画)とは

 BCP(Business Continuity Plan)の略で、自然災害や感染症の蔓延等の不足な事態が発生しても、重要な事業や業務を中断させないこと、また中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことです。

介護事業におけるBCPの必要性

 介護事業に関しては、ご利用者やその家族を支える上で欠かせない存在であり、不測の事態が起きた場合でも、適切な対応を行い、その後もご利用者に必要なサービスを継続的に提供できる体制の構築が求められます。

 私も、施設での新型コロナウイルス感染クラスターを経験し、この重要性について身を持って認識しています。起こってしまってからでは手遅れになります。特に特別養護老人ホームなどの入所施設は、事業を中止することができません。感染しているか分からないご利用者を自身も感染しているかもしれないと不安を抱えながら業務に携わることになります。職員が減っていく中で、どう体制を構築すればいいのか、どれくらい備品が必要なのかを考えて行動する余裕など全くありませんでした。

 ですので、日頃からの準備が必要なんです。不測の事態が起こった時でも、事前に計画と訓練をする事で、落ち着いて対応することができると思います。

BCP策定のためのポイント整理

 BCP策定には、いくつか押さえておきたいおきたいポイントがあります。施設クラスターの経験も踏まえてひとつずつ整理していきたいと思います。

厚生労働省『新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン』より引用

体制の構築と指揮系統の確認

 まず施設全体、相談員、介護、看護職員の各部門における責任者の選定施設全体の指揮系統の確認をしましょう。感染が発生すると、ご利用者の体調、ご家族への連絡、搬送先との調整、保健所とのやり取り、行政とのやり取りなど、様々な対応と情報で溢れかえります。「どの部門がどれを担当するのか?」「判断・指示するのは誰か?」など明確にしておく必要があります。また、それぞれの責任者も感染する可能性はありますので、その場合の人選もしっかりと行っておきましょう

 そして大切なのが情報の共有です。『今どういう状況で、誰の指示でどう動いているのか』これが曖昧になると現場が混乱します。実際に十分な情報が伝わらない事で、ご利用者に対しての対応が不十分になり、不安を感じる職員がいたり、不満を爆発させる職員もいました。

 最低でも1日2回は各部門の責任者が情報を共有する時間を決めましょう。共有する内容としては、以下のような内容を含めると良いと思います。

○感染したご利用者の累計、搬送先の病院

○その日に感染したご利用者の累計、搬送先の病院

○感染した職員の累計、療養先の確認

○その日に感染した職員の累計、療養先の確認

○保健所からの指示内容 ※次回のPCR検査予定など

○現在実施すべき感染対応            ...etc

感染防止のための取り組み

 感染拡大を未然に防ぐには早期発見早期対応です。感染の疑いがあるご利用者や職員を早期に判断し、徹底した予防対策を行うことが大切です。対策は大きくふたつ『初動対応』と『感染発生時』に分けて考えておきましょう。

 ○初動対応に関する具体的な内容はこちら↓の記事で紹介しています。

https://hoshikuzu-fukushi.com/sw-realdiary/229/

 ○感染発生時の対応についてはこちら↓の記事で紹介しています。

https://hoshikuzu-fukushi.com/sw-realdiary/892/

備品の確保

 感染発生時は、本当にあっという間に備品が不足します。マスク、消毒液、ガウン、フェイスシールド、使い捨て食器等は十分に備えておく必要があります。本当にすぐなくなります。クラスターが発生すると終息まで最低2週間から1か月かかりますので、1日当たりの使用量を考えて、目安の数を備蓄しておきましょう。

令和2年度 厚生労働省老健局
業務継続計画(BCP)作成支援指導者養成研修より

研修・訓練の実施

 いつ感染の波が押し寄せてくか分からない状況のため、いつでも対応ができるよう、訓練は必要です。また、BCPの研修は、可能であれば全職員が参加できるように実施し、シミュレーションも回数を重ねて実施することをおすすめします。BCPの研修については、厚生労働省のホームページに研修動画と研修資料が公開されていますので活用してください。

厚生労働省研修ページはこちら⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html

まとめ

 BCP策定により感染対策に備えるのは大切です。ポイントを押さえて早めに計画を策定しましょう。

○体制の構築と指揮系統の確認

○体制の構築と指揮系統の確認

○備品の確保

○研修・訓練の実施

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