自分の価値観だけで判断しない
日々の相談者の中には、きつい態度の方がおられたり、口調が強い方がおられたり、混乱されている方がおられたりと様々です。関わることを少し躊躇いたくなるケースもあります。何を話されているのか分からないこともあります。しかし、ここに来て下さる方々は、何か困っている事があって来所して下さる方々です。その困りごとに対して真摯に向き合い、課題を整理していくのが生活相談員としての責務であると考えます。どのような姿勢で来られても、その見かけだけで判断せず、その根幹にあるものを感じ取らなければなりません。自分の価値観だけで、迷惑な人であるとかクレーマーであるとか決めつけてはいけないのです。
求められるのは善悪の判断ではなく、寄り添う姿勢
「この家族は面倒だ」とか「あのご利用者は大変だ」といった言葉をしばしば耳にすることがあります。私たちに求められるのは、今目の前にいるご利用者やご家族の言葉や態度を非難する事ではなく、その行動の背景にある理由を見つけることです。「あなたは間違っている」とか「こうするべきだ」と決めるのは、私たちではなくその方自身です。私たちは、その感情や態度の裏にある課題を整理し、その方が、どうすれば良いのか、どうしたいのかを決める支援をしなければならないのです。
施設の顔として最初に関わるからこそ気をつけるべきこと
施設でご利用者を受け入れる際に、多くの場合事前訪問をし、現場に情報提供するのは生活相談員の役割です。その際に、自分の価値観で見たその方のイメージまでもを伝えるべきではないと思っています。現場の職員に対して、「認知症があって、時々手が出て大変な人です。」とか「家族が細かくて面倒そうなんだよね。」などと伝えることは、まだお会いしてないご利用者に対して間違った先入観を与え、いざ入所した時にすでにそういう人としか見れなくなってしまうからです。私たちは客観的事実をきちんと伝えるべき存在です。認知症の症状があり、時に攻撃的な様子が見られるようであれば、いつどのような状況でそういった症状が起きやすいのか、どのような生活を送ってこられたのか、その中に『ワケ』を見つけるヒントがないかといった具合です。
生活相談員は、自分の価値観だけで善悪の判断をすべきではありません。