こんにちは、ほしくずです。
介護施設では、日々様々な会議が行われています。ケア内容を検討するミーティング、各種委員会から施設の運営会議まで、多くのことは会議を通じて決定されます。介護施設では、会議での決定事項が、サービスの質に直結します。
そして、会議で決まったことを正確に確実に伝えるために必要になるのが「会議録」です。
「会議録」は、決定事項に対する職員の認識を揃えるという意味でとても重要なものです。そんな認識のズレをなくすための会議録ですが、こんなお悩みをよく聞きます。
「どうやってまとめるか分からない」「どんな構成で書けば伝わるのか」「ダラダラを書いてあって、何が言いたいのか分からない」
会議録が「わかりづらい」「見づらい」ものになってしまっては意味がありません。
こんな人におすすめ
・会議の内容をうまくまとめられるようになりたい
・どんな内容が会議録に必要なのか知りたい
・伝わる会議録とは?
この記事の内容を意識して会議に参加し、実践していけば「わかりやすい会議録」「伝わる会議録」を書けるようになり、施設のケアの質向上やあなた自身の評価にもつながっていきますので、最期まで読んでいただけたら嬉しいです。
なぜ、「わかりづらい会議録」になってしまうのか
一生懸命書いたはずの会議録なのに、「わかりづらい」「見づらい」と感じられてしまったり、上司や同僚から指摘され、書き直しを余儀なくされたりした経験はありませんか?
このような会議録になる要因としては、「会議の内容をダラダラと書いただけになっている」「会議録に必要な要素が不足している」ことが要因があげられます。
まずは、自分が書いた会議録を思い出しながら確認していきましょう。
内容をダラダラ書いただけの会議録
会議で話し合われた内容をそのまま書き連ねただけの会議録は、内容にまとまりがなく、「見づらい会議録」となってしまいます。会議録で重要なのは、「何が決まり」「これからどうするのか」を伝えることです。
最終的な結論が出るまでの過程を文字起こしのように書いてしまうと、最後まで読まなければ「決定事項」が分からないものになってしまいます。
ポイント
・「結論」や「決定事項」を先に記す
「結論」を先に述べることで、その結論を意識しながら会議録を読み進められるので、内容が頭に入ってきやすくなります。
会議録は、小説ではないので、最後にびっくりする展開を持ってくる必要はありません。「結論」を先に述べて、詳細を書いていく流れにすると、わかりやすい会議録にすることができます。
会議録に必要な要素が不足
会議録は、その会議の内容を簡潔に記すことが重要ですが、必要な要素が含まれていないと、内容の薄い会議録になってしまいます。
ポイント
・経緯や背景をきちんと記す
会議中の発言内容の要約や決定事項・結論、併せてそこに至る経緯や背景など、会議録をわかりやすいものにするためには、いくつかの要素を押さえておく必要があります。
わかりやすい・見やすい会議録を作るポイント
わかりやすい会議録とは、会議の内容や決定事項が、誰が見ても確実に正確に理解できるものです。
そのためには、内容が簡潔にまとめられており、わかりやすく記載されていることが必要です。
ここからは、わかりやすい会議録を作成するためのポイントを紹介していきます。
ポイント① 会議前に事前準備
わかりやすい会議録を作成するための準備は、会議前から始まっています。
事前の準備をきちんとしておくことで、会議を記録する際の効率が上がりますので、しっかりと押さえておきましょう。
何を話し合う会議なのかを理解しておく
会議の目的をきちんと理解することから始めましょう。
・ご利用者に関することであれば「ケアの内容について」なのか「今後のケアのあり方について」なのか「サービス量について」なのか。
・委員会であれば「委員会主催の研修内容について」なのか「役割分担について」なのか「活動報告について」なのか。
・運営会議であれば「稼働率の報告」なのか「稼働率を上げるための対策を決める」のか「情報交換」なのか。
その会議が「情報共有」「方針決定をする」「案を出す」など、どんな目的で行われるものなのかを理解していると、その内容に沿った会議録を作りやすくなります。
テンプレートを用意しておく
会議録の構成(テンプレート)を事前に用意しておくと、会議中の内容を記録しやすくなります。
具体的には、「日時」「参加者」「会議の目的」「背景・経緯」「決定事項・結論」「話の要約」など、会議録に必要な要素を事前に準備しておき、会議で話し合われた内容が合致する要素の部分に記録(メモ)しておくことによって、当日の会議の内容をまとめやすくなり、会議録作成時の負担が大幅に軽減されます。
ポイント② 会議中に意識すべきこと
事前準備で作成した構成(テンプレート)に沿って次のことを意識しながら記録していきましょう。
ポイント
・会議の目的、背景・・・なぜ必要になったのか
・決定事項・結論・・・いつまでに、誰が、何を、どのようにするのか
・決定事項・結論に至った経緯・・・なぜその結論に至ったのか
会議の内容、発言者の内容について上記のことを意識して記録(メモ)していくと、記録を作成するときに、まとめやすくなります。
ポイント③ 構成(テンプレート)に沿って記録(メモ)を整理する
会議が終わったら、事前準備で作成した構成(テンプレート)に従って、会議で意識しながら行った記録(メモ)を整理してきます。
会議の目的によって、必要な要点を押さえた内容にしてきます。簡潔でわかりやすい会議録を作成するためには、内容を要約する力が必要になります。
はじめに背景や課題、必要な情報、決定事項などを記載し、それに対する補足説明を付け加える形にすると会議録を作りやすくなります。ひとつの文章が長くなりすぎないように、簡潔にまとめていくのも重要です。
そして、会議録が出来上がったら、共有する前に必ず上司に確認してもらいましょう。本来の目的や意図と違った内容で共有されてしまうと、会議自体の意味がなくなってしまう恐れがあるからです。
誤字・脱字はもちろん、誤った解釈につながりやすい表現も、共有前に確認すれば問題ありません。きちんと伝わる会議録になっているか、複数の視点で見てもらうことが必要です。
会議録の例文比較
実際の会議録に近い形で悪い会議録・わかりやすい会議録の比較をしてみたので、もし良かったら参考にしてみてください。
例文① ただの文字起こしになってる会議録と改善例
稼働率について検討が必要です。最近稼働率が落ちてきているので、積極的に営業活動が必要です。稼働率と言えば、ある事業所は稼働率を100%にするノウハウを研修会で発表していました。稼働率は、施設の運営にとても重要です。稼働率の維持に努めていきましょう。
発言者が話した内容などをそのまま載せてしまうと、要点が分かりにくくなってしまいます。必要な要素に沿ってまとめると以下のようになります。
施設の稼働率が低下しています。稼働率は施設の経営に直結します。稼働率を維持する方法として、他事業所の成果を参考にしながら、積極的に営業活動を行ってください。
何が言いたいかを整理し、簡潔にまとめることで、わかりやすい会議録になります。
例文② 背景・経緯が分からない会議録と改善例
食事量が低下しているため、多職種で検討した結果、食事内容を極刻みへ変更する。
食事量が低下している原因、多職種でどのような検討がされたのかがわからないため、この会議に参加していなかった職員は、なぜそうなったのかを理解することができません。また、変更した後の対応についても不明になっています。このことを踏まえて会議録にすると以下のようになります。
食事の際に、首を横に振られ食事を食べたくない意思表示をされたり、口の中にお食事を運んでも、なかなか飲み込めず、溜め込んでしまう様子が見られており、食事量が低下している。介護職員からは、誤嚥のリスクについて心配だという声が上がっている。栄養士からは、食事形態を変更できる提案があり、看護職員は覚醒していれば、まだ食事を食べられるという意見が上がっている。
生活相談員がご家族に意向確認したところ、食事を食べれるようであれば食べてもらいたいというお話があった。
食事形態を極刻みに変更し、ご本人の覚醒状態を確認しながら食事を提供する。食事時の様子を記録に残し、1週間後に再度食事の摂取量や食事形態について話し合いを行うこととする。また、その前に変化や異常があれば、随時検討していく。
食事内容の検討が必要な背景や変更に至る経緯と結論。その後の対応についてまとめられているため、職員が介助する際に意識することやどのような記録を残すのかが、会議に出席していなくても伝わる内容になっています。
まとめ
今回は、わかりやすい会議録の書き方について解説してきました。
ポイントを意識して会議録を作成することを続けていけば、「どんなことを注意して記録すれば良いのか」が理解できるようになり、あなたの会議録の質は、向上していきます、結果的に職員が取り組む意図をきちんと理解することにつながり、ケアの質の向上やあなたの評価が上がることにつながっていきます。
会議録作成の際に、参考にして頂けたら嬉しいです。