「特別養護老人ホームに入所してほしい」。在宅介護を続けるご家族などは、一度は検討したことがあるのではないでしょうか?入所をするためには、まず入所したい特別養護老人ホームに申し込みをすることから始まります。その申込書の内容によって入所判定が行われ、入所待機順位が決定します。
こちらの記事で早く入所するためのコツを解説
入所要件を満たしていれば、基本的に申込自体を断ることはほとんどありませんが、早く入所をしたいと考えているならば、この申込書で施設の相談員に「この方、良さそうだな。」「順位は低いけど、検討委員会に上げてみようかな。」と思わせる事が必要になってきます。
今回は、実際の申込書を例に上げながら、相談員の目に留まりやすい申込書の書き方について解説していきます。
また入所施設は、特別養護老人ホームだけではありません。それぞれのニーズに合った施設を検討して頂くことをおすすめします。
その他の入所施設については、こちらのブログ記事を参考にしてみて下さい↓
【入門編】知っているようで知らない、介護施設の種類と違い【Vol.1】
入所申込書の書き方が大切な理由
特別養護老人ホームに入所するためには、入所申込書がとても大切な役割を担います。
「入所するんだから申込書書くのは当たり前でしょ」
「どうせ長く待つんだし、とりあえず出せばいいんじゃないの?」
と思われる方もいるかもしれません。しかし、実際はこの入所申込書によって早く入所できるか否かが決まる可能性があります。
その理由は...
申込書を最初に見た時に、入所してほしいと相談員に思わせる事が必要だからです
詳しくお話すると、特養の入所希望者が多い事は皆さんご存じだと思います。月に何件もの申し込みがあります。
申込書の第一印象で目に留まるか留まらないかで、その他大勢の待機者に埋もれてしまうか、入所検討に諮るためキープされるのかが決まります。
多くの待機者に埋もれてしまうと、次いつ見られるのか、検討されるのか、全く分かりません。逆にキープされるという事は、相談員が常に検討の対象として手元に置いておく事になりますので、早く検討に諮られる可能性が高くなります。
上記の理由により、入所申込書はとても重要な存在となるのです。
ちなみに申込書とはこんな感じ↓
このような構成になっています。基本的には入所申込書を家族が、介護支援専門員意見書を担当のケアマネが記入することになります。
申込書の記入のポイント
①基本事項の記入
〇入所を希望している対象者の氏名・性別・生年月日・現住所を正確に記入します。
〇介護保険情報についても、最新の認定結果を記入しましょう。状態変化などにより、区分変更申請中(介護度の見直し)の場合は、認定結果が出てから記入するようにしましょう。介護度は、入所申込者評価基準によって点数化され、介護度が高ければ優先順位も上がります。
〇年金情報も可能な範囲で詳しく記入しましょう。基礎年金・厚生年金など年金の種別や受給額についても記入できると良いと思います。この項目では、入所後に利用料を支払っていく能力があるかどうか判断する材料になります。
老人ホーム検索サイトNo.1のLIFULL介護多床室、ユニット型個室など居室形態によって費用が変わります。とりあえず申し込み、声がかかってもユニットは高いからと断ってしまうと、次に声をかける際のデメリットになってしまいます。年金額が分かることで、実際に払っていけるか相談員からも確認されるので、ぜひ記入してください。
〇現況の項目では、自宅で介護しているのか?独居なのか?老健やグループホームなどに入所しているのか?などを記入します。独居の場合は優先順位が高くなりますし、施設に入所している状況だと優先順位は下がります。
②医療の状況
〇既往歴や現在治療中の病気などについて記入していきます。ここでは、可能な範囲で詳しく記入する事をおすすめします。病状が安定しているか、入所後長く利用してもらえるかは、相談員が注目する部分になります。
〇糖尿病であればインシュリン注射が必要なのか、内服管理なのか。経管栄養であれば何時ごろから経管になったのか、それになるきっかけとなった疾患は何か、等が分かると判定の材料になります。
③入所希望者の意向
〇すぐに入所したければ迷わず「今すぐ入所したい」を選択しましょう。注意点としては、「今すぐ入所したい」を選択しておきながら、思いがけず早く声がかかった時に入所躊躇う方が時よりいらっしゃいます。
これは、相談員からの印象が悪くなり、次空いたら声をかけようという気持ちになりません。「今すぐ入所したい」を選択したら、声がかかり次第「お願いします」と言いましょう。次のチャンスはありません。
〇他の施設も申し込んでいるかについてよく聞かれるのが、「私はこの施設だけしか申し込みません」や「ここ一本で考えています」というアピールです。
しかし、これは効果的ではありません。逆に多くの施設に申し込みをされている方が競合相手が多くなるため、入所してほしい人ほど早く声をかけたくなります。ひとつに絞っても待つだけですので、いくつかの施設の同時に申し込んだ方が良いと思います。
④特例入所の要件について記入
この部分には、要介護1または2の方が入所申し込みをする際に、その要件に当てはまる事由について記入する箇所になります。詳しい入所要件については、別の記事で紹介していますので確認してみて下さい。
介護支援専門員意見書
介護支援専門員意見書は、在宅の方であれば担当のケアマネ、グループホーム入居中であれば計画作成者等、入院中であれば医療ソーシャルワーカーなどに書いてもらう書類になります↓
この内容をもとにして、入所申込者評価基準によって点数化されます↓
その他、あった方が良い書類
入所者を検討する上では、より多くの情報があったほうが有利になります。不明な点がなく、その方について詳しくわかる書類が添付されていると、入所検討にあげられる可能性が高くなります。
逆を言えば、情報が少ないほど情報収集に時間がかかったり、検討する材料が少なかったりするので、施設の生活相談員に敬遠されてしまうので注意しましょう。
日常生活動作(ADL)表
日常生活動作(ADL)とはActivities of Daily Livingのことで、ADLのAはアクティビティー(動作)、DLはデイリーリビング(日常生活)を指します。
食事・排泄・入浴・コミュニケーション等で、その方がどの程度介護を要する状況にあるのか、介護が必要な場面はどこかなどを記入するものです。状態が細かく分かる方が、入所判定がしやすいため、担当のケアマネなどに依頼して添付してもらいましょう。
内服の情報
現在処方されている内服薬の内容から、病気の進行状況や記入漏れがあった病気に気づくことができます。また嘱託医等の判断で処方できる薬かどうか確認することもできます。
家族構成や介護協力者がわかるもの
入所されてからも、受診やお怪我をされた際にはご家族へ連絡する場合があります。主介護者以外に連絡をとれる家族や親族、介護に協力してくれる人が多い方が施設としては安心できますので、入所につながりやすくなります。
申込書の提出
申し込み書の提出は、郵送でも可能の場合が多いですが、できれば来所して直接お話する方が良いと思います。その際、事前に連絡をしておくと、相談員の都合の良い予定で直接面談する事ができます。
顔の分かる相手の方が、検討後に連絡しやすいというのもあります。可能であれば、来所する時間を作るようにしましょう。
他の記事でも紹介しているように、待機順位=入所できる順位ではないのが現状です。申し込みの時点で、他の待機者より一歩進んだ地位を獲得しておきましょう。
入所を希望される方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい↓
【現役相談員が教える】特養への入所 入所しやすい(できる)人とは? ~早く入所につなげるポイント解説~]
-
【現役相談員が教える】特養への入所 入所しやすい(できる)人とは? ~早く入所につなげるポイント解説~
スポンサーリンク 特別養護老人ホームの入所を急いでいる方は多いのではないでしょうか?今回は、特養の入所要件や料金、早期入所のためのポイントについて解説していきます。 まず...ぶっちゃけて言うと、 ...
続きを見る
まとめ
今回は、特別養護老人ホームの入所申し込みの書き方について解説してきました。
ポイント
・申込書は提出直後が勝負
・必要な情報は丁寧に記載する
・隠し事をしない
・情報は、多いほど目に留まりやすい
入所したい気持ちだけを伝えるのではなく、必要な情報も併せていただくことで、生活相談員に好印象を与え、入所検討にあがる可能性が高くなります。
入所申し込みをされる際は、今回のポイントを押さえて記入してみてくださいね。