生活相談員の勉強部屋

HSP(繊細さん)は、介護の仕事に向いている?向いてない?

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 こんにちは「ほしくずのクズ」です。

 今回は、HSPいわゆる繊細さんと言われる人が、福祉や介護の仕事に向いているかどうかについて解説していきます。

 この記事を書いている私も、かつてうつ病を経験しており、HSPの性質を持っていると診断を受けています。現在、特別養護老人ホームの生活相談員として働いており、福祉経験15年以上の私の意見としては、HSPの人は...

介護に向いている側面と向いていない側面がある

 と思っています。その理由を説明してく前に、HSPについて詳しく知らない方のために、少しHSPについて説明していきますね。

 HSPは、親しみやすく「繊細さん」などと言われる通り、とても繊細な心の持ち主です。

 こちらの『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』を参考にお話ししていきますね。

 

HSPとは何か?

 HSPとはHighly Sensitive Person」の頭文字をとったもので、日本語に訳すと「とても敏感な人」となります。

 この「とても敏感な人」とは

非常に感受性が強く、敏感な気質を持った人

という意味です。

 このHSPいわゆる繊細さんは、生きていく中で後天的に身についていく性質ではなく、生まれ持った性質であり、およそ15~20%ほどの人がこの性質を持っていると言われています。

 5人に1人と考えると、多いように感じるかもしれませんが、約8割の人がこの性質に当てはまらないことを考えると、なかなか理解してもらったり、共感してもらったりすることが難しく、周囲の環境によっては、とても苦しい想いをすることになります。

HSPの人の特徴

 HSPの人の性質については「DOES」と言われるもので説明されています。

 Depth of processing...複雑に考え、深く思考する性質

  Overstimulation...刺激に対して敏感に反応し、疲れやすい性質

Empathy and emotional responsiveness...他人への共感の気持ちが強い性質

  Sensitivity to subtleties...いろいろな感覚が鋭い性質

 それぞれの頭文字をとって「DOES」と言われています。もう少し詳しくお話しします。

複雑に考え、深く思考する性質とは...

 自分が気持ちを向けたり、興味がある関心ごとに対しては、とことん突き詰めていきます。また、相手の感情を敏感に感じ取るため、気持ちの入っていない言葉や行動に気づきやすく、そのため深く考えすぎたりしてしまいます。

 相手の行動の意味や物事を考える時に、深く考えすぎてしまい、行動に移すまでに時間がかかってしまうことがあります。

刺激に対して敏感に反応し、疲れやすい性質とは...

 多くの人が集まる場所や賑やかな雰囲気が苦手です。その理由としては、相手の些細な言動が気になってしまうため、多くの刺激があると大きなストレスを感じてしまうからです。

 多くの人が集まる場所や賑やかな場所では、多くの刺激を受け続けてしまうため、非常に疲労感も大きくなります。

他者への共感の気持ちが強いとは...

 人のちょっとした言葉や行動などで、その人の気持ちや機嫌を敏感に感じとってしまいます。相手に感情移入しやすく、影響を受けやすい状態です。

 映画やドラマなどでも、気持ちが入り過ぎて号泣したりすることもあります。

 私も映画やドラマはもちろん、スポーツ観戦でも劇的な展開や逆転劇などを見ると、感極まって泣くことがあります。まわりに気づかれないように必死です。

感覚が鋭いとは...

 強い光やにおいなどに敏感で、気になってしまうと集中できなかったり、そのことに固執してしまうような状態になります。光やにおいの他にも、刺激が強いものに対しては、苦手だったり、敏感に反応したりします。

 とにかく気になってしまうと集中できませんし、それが続くとその環境が苦手な場所になってしまいます。


 以上のような性質に当てはまる人がいれば、もしかしたらHSP(繊細さん)の可能性があるかもしれませんね。

HSP(繊細さん)は、福祉・介護の仕事に向いているか?

 では、本題のHSPは福祉や介護の仕事に向ているのか?についてお話していきます。

 先にも記載したように、向いている部分と向いていない部分があります。

 向いている部分としては...

ご利用者や周囲の環境の変化に気づきやすい

ご利用者やご家族が望む姿やニーズをより深く汲みとることができる

 という点です。

 HSPの人は、人の役に立ちたいという気持ちが強い傾向になります。

 ご利用者の小さな変化に気づけることは、介護職員にとって大きな武器になります。ご利用者の言葉からだけでなく、視線の動きや表情の変化、話し方などから、その気持ちを感じとり、寄り添える素質があると思います。福祉に関わるものとして必要な「共感」ができるという事です。


 向いていない部分としては...

●人間関係が複雑な環境になる

●様々な刺激の中での激務となる可能性がある

 という点です。

 福祉の現場は、基本的に人と人との関わりです。ご利用者だけでなく、職員同士の人間関係もあり、職場での人間関係が複雑になりがちです。

 人間関係が複雑になると、いつも周囲の反応が気になってしまいます。

 「あいさつしたけど、返してくれなかった。機嫌悪いのかな」とか「電話のとき、ちょっと怒ってたみたいだから、話しかけない方がいいかな」などいろいろと気にしてしまい、頭の中を支配してしまいます。

 こういった状況が常日頃から続いていると、精神的に大きなストレスとなり、仕事を続けることが難しくなってしまいます。

 向いている部分・向いていない部分については、働く環境により大きく左右されます。自分が働きやすい環境を考えて、仕事を選んでいくことが重要になります。

 向いている部分は、「強み」になりますので、その「強み」を伸ばしていけるような環境であるかどうか。

 向いていない部分については、そこを理解し、支えてくれる環境であるかどうか。

 これらがうまくマッチする環境で働くことができれば、事業所にとっても大きな力となれると思います。

HSPでも福祉・介護職員として働いていくために

 私もHSPでありながら、現在も福祉の仕事を継続しています。ここからは、HSPでも福祉や介護の仕事を続けていくためのポイントについて紹介していきます。

続けるためのポイント① ストレスとうまく付き合う

 HSPの人は、本当にまわりの状況やちょっとした言動を気にしてしまいます。

 私も、まわりの人のちょっとした言葉が気になり、急ぎの用事があってもすぐに話しかけられなかったりタイミングを計っているうちに逃してしまったりしていました。

 物事を深く考えすぎたり、共感する力が他の人と比べて強い傾向になるため、常にその状況が続けば、どんどん疲弊してしまい、強いストレスになります。

 このようなストレスに対して、自分のキャパシティを把握しておく必要があります。自分の限界をきちんと知っておくことです。そういった環境を避けたり、限界に近づいたら、迷わず逃げましょう

 具体的には、職員同士の雑談(※特に陰口や悪口)に関わらないご利用者の気持ちに深く関わり過ぎない、などでストレスを軽減する工夫を行っていきましょう。

 そして、自分なりのストレス解消法を見つけておくと良いと思います。

 ご利用者の支えになる自分自身が、ストレスに耐えられないような状況では意味がありません。自分なりの工夫をしていきましょう。

続けるためのポイント② 価値観の違いを理解する

 HSPは、共感力が強いく、相手の感情を汲みとりやすいです。

 その反面「介護はこうあるべきだ」「こういう時は、こういう対応をすべきだ」という考え方を持つこともあります。

 私も過去に、「こうあるべき」ということを介護の現場に主張し続け、結果的に現場から避けられたり、怖がられたりしていました。

 自分が思い描くような行動をしない人に対しては、大きなストレスを感じてしまいます。

 人はそれぞれ、生きてきた環境も価値観も違います。「自分はこう想うが、こういう考え方もあるよね」という具合に、人との違いを認めるようにしましょう。

続けるためのポイント③ 生活にメリハリをつける

 できるだけ勤務時間以外は、仕事のことを考えないようにしましょう。

 私も過去に、仕事での言動を帰ってからや寝る前に考えすぎてしまい、結果的に寝ることができなくなり、うつ病につながってしまいました。

 自分が仕事でうまくいかなかったことや嫌に感じたことを通じて、自己肯定感を著しく下げてしまいがちになります。これもHSPの特徴です。失敗に対して反省し、次に向けて考えることは重要ですが、プライベートの時間まで、「仕事」に支配される必要はありません

 生活にメリハリを持つように心がけましょう。

最後に

 5人に1人がHSP(繊細さん)と言われていますので、この記事を読んで頂いた方の中にも「自分もHSPかも」と思われた方もいるかもしれません。どんな仕事であっても、自分に向いている部分と向いていない・苦手な部分は必ずあります。

 これは介護に限ったことではありません。

 この記事を参考にしていただき、少しでもストレスを抑え、楽しい生活に役立てて頂けたら幸いです。

 最後までお読み頂きありがとうございました。

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